さっぽろ散歩
2025.01.10

1月の札幌がもっと楽しくなる!注目のイベント「かまくらテラス」とは!?

農業王国・北海道において、その最大都市・札幌の年間農業産出額が60億円を超えている事実はあまり知られていない。札幌市内には広大な農業体験交流施設もあり、そこを会場に昨年から始まったウィンターフェスが市民に大人気だという。札幌の冬の新しいイベント「かまくらテラス in さとらんど」について、担当者に聞いてみた。

Photo: Ryoichi Kawajiri / text: Masaki Narita

広大な農業テーマパークを会場に、
新しい冬のイベントが開幕!

札幌中心部から車で約30分の場所にある「サッポロさとらんど」は、「人と農業や自然とのふれあい」と「都市と農業の共存」をテーマにした農業テーマパーク。東京ドーム15個分(74.3ha)もの広大な敷地に、花畑や農園、芝生の公園、バーベキューができる炊事広場などがあり、野菜の収穫体験をはじめ、バター作りやソーセージ作りなどの体験メニューも提供している。

かまくらテラス in さとらんどの会場となるサッポロさとらんど。

中でも目玉となるのは、この冬に開催される新しいイベント「かまくらテラス in さとらんど」。昨年の冬に実施された、大鍋祭りとイルミネーションイベントの良いとこ取りをした、3週間にわたるロングランイベントだ。このイベントを立ち上げたのは、LEDの演出に定評のあるJFEテクノス株式会社。担当した河原茉利恵さんは「北国の屋外イベントなので、雪と天候が心配でした」と初開催の昨年を振り返る。

かまくらテラスを担当している河原茉利恵さん。

「昨年は世界的なイベントのさっぽろ雪まつりと合わせて楽しめるよう、その前後に分けて開催しました」と河原さん。幸い好天にも恵まれ、それぞれ1週間の会期で合計28,000名の来場者を集めたが、観光客にとってはまだ知る人ぞ知る穴場的なイベントだった。しかし、市民の声に後押しされるように2025年の開催が決まった。今年はさらに注目されることになりそうな「かまくらテラス in さとらんど」の魅力を探ってみよう。

昨年の北海大鍋まつりの様子。大勢の市民で賑わった。

昨年人気だった「焼きマシュマロ」は今年も実施。

五穀豊穣を祈る8基の「かまくら」と、
獲れた野菜を使った「大鍋料理」を堪能。

今年のかまくらテラスは、雪まつり前の1月に開催時期を移して、会期も1週間長い3週間に決定。タイトルを「かまくらテラス」にしたことにも理由がある。河原さんは「かまくらは、五穀豊穣を祈る東北地方の民俗行事です。農業がテーマのサッポロさとらんどは、かまくらとの親和性が高いんです」と語る。会場には8基のかまくらが並び、日が暮れると、その内部にはJFEテクノスが得意とする環境にやさしいイルミネーションが光る。家族やグループで貸し切り(有料)にして、かまくらの中で特別な雰囲気を楽しむのもいい。

大人が数名入れる大きさのかまくらが設置される。

かまくらの出入り口は子どもの背丈と同じくらい。

日が暮れると優しい光によるライトアップも。(昨年の様子)

昨年の流れを汲む大鍋料理も5種類から7種類に増えた。期間中の土日祝日のみの提供だが、週替わりで違う鍋料理が味わえる。ちなみに昨年の人気ナンバーワン「鉄砲汁」はどの週でも提供されるという。「豆乳鍋の大豆や大根もち鍋の大根、長ネギもさとらんど産です。鍋料理はすべて運営スタッフの手作りなので、ぜひ味わっていただきたいですね」。熱々の一杯には、来場者をおもてなししたいという河原さんたちの思いも込められているのだ。

大鍋で300人前の食材を煮込み、それぞれの食材の旨味を最大限に引き出す。

さとらんど産の大根がたっぷり使われた大根もち鍋。やさしい味わいで体が温まり、ボリュームも満点だ。

札幌市の日本清酒と栗山町の小林酒造が厳選した、鍋料理にぴったりの地酒も提供(初日から3日間のみ)。

さとらんどの冬がもっと楽しくなる、
アクティビティや体験も盛りだくさん。

今年からはアクティビティや体験メニューにも力を入れている。サッポロさとらんどの広大な雪原を疾走するスノーモービル乗車体験は、まさに冬の醍醐味だ。また、地面を足で蹴るランニングバイク・ストライダーにアタッチメントをつけた「スノーストライダー」は、小さな子どもでも安心して楽しめるウィンタースポーツとして人気を集めそうだ。「1歳半から5歳までが対象なので、ご家族でお越しの際にはぜひチャレンジしてみてくださいね」。

雪景色を眺めながらスリル満点のひとときが楽しめるスノーモービル周遊体験は平日限定。

未就学児でも安心して雪上を走れるスノーストライダー。

夏の夜空を彩る花火も、実は空気の澄んだ冬のほうが綺麗に見えるのだという。全道各地の冬花火のイベントと、かまくらテラスの冬花火は一味違う。「大掛かりな打ち上げ花火ではないんですよ。家庭用の花火をみんなで楽しもうという、ささやかなイベントです」と河原さんが言うように、手作り感いっぱいの冬の花火体験会だ。

真冬に手持ちの花火で遊んだことも忘れられない思い出になるに違いない。

冬の農業体験としては「雪下大根掘り体験」がある。雪深い園内をスノーシューで歩き、雪の下で寝かせた大根を掘るというもの。また、雪原をキャンパスに雪を踏み固めて巨大なスノーアートを作る「雪中アートワークショップ」などの新たな企画も展開される。

甘みが増してやわらかな食感になった大根は持ち帰ることができる。

3週間のロングランイベントで、
寒いからこそ楽しい札幌の冬を実感。

1995年に開園したサッポロさとらんどは、今年30周年を迎える。その記念すべき年の幕開けを担うイベントとして、かまくらテラスへの期待は大きい。会期の前半が市内の小中学校の冬休み期間と重なることもあり、来場者数も昨年から大幅増の5万人を目指しているという。「市民はもちろん、観光客の方にこそ来ていただきたいですね。札幌の冬の楽しさと、札幌の農業の豊かさを肌で感じていただけると思います」と河原さん。かまくらと鍋と雪遊び……寒いからこそ楽しい札幌の冬を、ぜひ体験してみてはいかがだろう。

観光客の方にこそ来ていただきたいイベントと語る河原さん。

Information

かまくらテラス in さとらんど

会期:2025年1月11日(土)~1月31日(金)
※1月14日、20日、27日はさとらんどが休園日のため休みとなります
時間:11:00~17:00(一部18:00まで営業有)
会場:さとらんどセンター前(札幌市東区丘珠町584-2)
入場料:無料(飲食・アクティビティは有料)
https://www.satoland.com/publics/index/393/