さっぽろ散歩
2024.09.02

ワクワクとなるほどに出会う、旅の寄り道。札幌市青少年科学館へ行ってみよう!

観光スポットではないけれど、北国・札幌ならではの学びと発見がある場所としてオススメなのが、リニューアルした「札幌市青少年科学館」。体験型の展示で、札幌の暮らしの中の“あたりまえ”に隠された不思議が科学によって解明され、知的好奇心を刺激する。家族連れはもちろん、大人だけでも楽しめる8つの展示を紹介しよう!

Photo: Yoshitaka Morisawa / text: Aiko Ichida

2024年4月にリニューアルオープン。以来、子連れファミリーはもちろんのこと、カップルや友人同士で訪れる大人が増えたという。

美しい冬の景色を連想させるスノードームなど、雪や氷について学べるエリアは札幌ならでは。

宇宙の誕生から北海道の成り立ちまで学べる天文・地球科学エリア。

幼少期は札幌に住んでいたという、名誉館長で宇宙飛行士・山崎直子さんのコーナーも。

【オススメの展示①②】
カーリング・スケルトン @2Fガイアタウン 雪・氷エリア内

積雪寒冷地の特性を科学的に学べるこのエリアには、雪や氷、冬の景色の「なぜ?」「どうして?」をスッキリ解説してくれる展示のほか、北国のスポーツ「カーリング」や「スケルトン」の動作体験ができるコーナーがある。壁や床に映し出された映像によって盤面やコースが再現され、実際に競技をしているかのような感覚を味わえるとあって大人気のコーナーだ。体験する楽しさはもちろんのこと「20キロもあるストーンがなぜ氷の上をスムーズに滑るのか」「スケルトンの最高速度がどれほど速いか」など、誰かに教えたくなる豆知識も習得できる。

カーリングコーナー。壁や床に映し出された映像によって盤面が再現され、実際にスウィーパー(ブラシ)を使用して、ストーンを狙った位置に滑らせる“あの動き”を体験ができる。

体の重心を移動させながら、コースを走り抜けるスケルトンの迫力を体感できる。

【オススメの展示③】
スノードームシアター @2Fガイアタウン 雪・氷エリア内

プロジェクションマッピングを活用した雪と氷の映像を楽しめる「スノードームシアター」では、体の動きを投影したアバターで雪の結晶を拾い集めたり、氷を集めて‟つらら作り”にチャレンジ! キラキラと輝きながら変化する冬の景色の中で、夢中になって体を動かしているのは子どもだけではないようで…。用意されているコンテンツは4つあり、どれに当たるかは行ってからのお楽しみ。

家族や友達と対戦すると、楽しさ倍増!

【オススメの展示④】
低温プレイグラウンド @2Fガイアタウン 雪・氷エリア内

1年を通して北海道の厳しい寒さ(マイナス30℃!)を体感できるコーナー。夏の暑い時期に涼を求めて……というには度を超えた寒さだが、一度は濡れたタオルを真っ直ぐに凍らせてみたいという(謎の)欲求を実現できる貴重な場所だ。チャンスは1日4回(各回15分)、会場付近に設置されている整理券発券機にて受け付けを(先着順)。

マイナス30℃の世界では、濡らしたタオルを30秒ほど振り回すとカチコチに。

【オススメの展示⑤】
食べものの旅 @3F テクノロジータウン ボディアドベンチャー内

人体について学ぶエリア「ボディアドベンチャー」からは「食べものの旅」をピックアップ! 自分が‟食べもの”となって口から入り、砕かれ、消化され、栄養分と水分が体に吸収されて、排出物となって出てくるまでの道筋をたどる展示だ。各所に書かれている数字は体の仕組みにまつわるもので、どんな意味があるのかはクイズ形式で出題されている。いろいろ答え合わせをしながら、最後に“排泄”される不思議な感覚をぜひ味わってほしい。

食べものの入口は館内随一の“映え”スポット。ここで撮影してSNSに投稿する人も多い。

自分(食べもの)が胃・小腸・大腸を通過する様子がわかる。それぞれの働きについても丁寧に解説。

血液や骨の仕組みをゲーム感覚で学べるスポットも。

【オススメの展示⑥⑦】
除雪車・地下鉄 @3F テクノロジータウン サッポロバックステージ内

「サッポロバックステージ」には、札幌市で実際に使われていた除雪車や地下鉄の車体が展示されている。映像を見ながらまちの除雪作業や、地下鉄の運転を体験できるのも楽しみだが、地元で暮らす大人にとっても「へー、そうだったのか」の連続で、学びがいっぱいだ。除雪車の展示では冬の通学・通勤時に安全に歩けるよう深夜に歩道を除雪する様子を知ったり、運転席に入ってその視界に驚くなど、ここに来なければわからなかった気づきがある。地下鉄の展示では日本で初めて本格的にゴムタイヤを使用した案内軌条方式車両に隠れている科学や工学的な仕組み、工夫なども紹介されている。間近でじっくりとマシンのディテールを観察するだけでも面白い。

札幌市内で実際に使われていた小形ロータリ除雪車を展示。

除雪作業の様子を運転席からの目線で見ることができる。

札幌市営地下鉄東西線の地下鉄の運転席で運転の疑似体験も。(車輌は2008年まで使用されていたものと同型)

地下鉄の実物を間近で観察できる展示は世代を超えて大人気!

【オススメの展示⑧】
1F プラネタリウム

ドーム直径18m、座席数200席のプラネタリウムは道内最大級。広々とした空間の中でゆったりと星空を楽しむことができる。最新の観測データに基づいて映し出される星の数は、世界トップクラスの約1億個にも上るという。デジタル4Kとアップデートされた音響機器によって、星の輝きや実際に目で見える恒星の色までが忠実に再現され、満天の星空の下にいるかのような臨場感が魅力。上映される番組は子ども向けから大人向けまで数種を揃え、中には職員が制作に携わった作品も。彼らの生解説とあわせて存分に満喫してほしい。上映時刻により演目(番組)が異なるので、詳しくは公式サイトで確認を。

プラネタリウムの番組上映と青少年科学館の職員による生解説が人気。

光学式プラネタリウムでは、約一億個の星を映し出す。星空の臨場感がすごい!

2Fにある巨大な地球儀は、プラネタリウムの“外側”を活用したもの。

他にも魅力的な展示はたくさんあって、その一つ一つをじっくり堪能しようと思うと、時間が足りないと感じてしまうほどコンテンツが充実している。それぞれの展示で知的好奇心が満たされていくのを実感できるうえ、ゲーム感覚で遊んだり、ちょっとしたチャレンジができるのも、子どもに返ったようでなんだかうれしくなる空間だ。

3Fサイエンスパークで人気の「ふわふわエアバズーカ」。空気砲から空気を発射して、時間制限内に的を倒す体験を通して見えない空気の動きを確かめられる。

3Fサイエンスパークの「パワーフォレスト」は、ニュートンのりんごに見立てたボールをハンドルや、空気入れを使って上部のレールに上げたり、転がしたり。物体の運動について学べる展示。

部屋の床は15度傾いているが、柱や壁は床に対して垂直に設置されているため、視覚と平衡感覚にズレが生じる。三半規管が弱い人はご注意を。

2F環境・気象エリアにある「0℃で川の水も凍るの?」では、白い砂場に投影されたプロジェクションマッピングによって地形や水面の変化を再現。子どもよりも、大人のほうが興味津々だ。

3Fサイエンスショーコーナーでは、子どもも大人も楽しめる科学の実験ショーを実演。

最後に、青少年科学館に来たからにはぜひ寄ってほしい「ミュージアムショップ」の紹介を少しだけ。1Fのチケットカウンター横にある小さなスペースには、科学や宇宙に関連するユニークな商品が並んでいる。今回は来館の証にそっと“連れて帰りたい”3つのアイテムをピックアップした。誰かへのお土産にもピッタリだけど、つい自分の手元に置いておきたくなる!

スペースシャトルミッションや国際宇宙ステーション(ISS)の長期滞在時に宇宙飛行士に供される宇宙食。

元素記号と微生物をデザインした科学館オリジナルの缶バッジは、カプセルトイとして販売。実はファンが多い人気商品。

札幌の星空をテーマにしたオリジナルの「星座早見盤」。円盤の日付と時間の目盛りを合わせると、札幌で見える星と星座がわかる。滞在中の星空を観察したい。

ミュージアムショップに並ぶオリジナルグッズの中には職員が企画したり、デザインを担当したものも。

Information

札幌市青少年科学館
住所:札幌市厚別区厚別中央1条5丁目2-20
TEL:011-892-5001
地下鉄東西線新さっぽろ駅1番出口正面/JR新札幌駅から徒歩5分
https://www.ssc.slp.or.jp

◉開館時間
5〜9月/9:00〜17:00
10〜4月/9:30〜16:30
※入館は閉館の30分前まで。ミュージアムショップの営業は通年、開館時間から16:30まで。

◉休館日
毎週月曜日(祝日の場合は開館)・毎月最終火曜日
※祝日の翌日、特別展最終日の翌日、年末年始も休館
※ゴールデンウィーク期間中・特別展期間中は無休

◉観覧料金
展示室(当日券・WEBチケット) 大人700円 ※中学生以下は無料
プラネタリウム(当日券・WEBチケット) 大人500円 ※中学生以下は無料
※オンライン予約がおすすめ

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