札幌に通う理由
2025.03.19

観光の目、市民の目で楽しむ、眺望札幌旅。

なんてことない日常の中でふと思い出される、旅先の景色。鮮烈に焼き付けられる画像は、人ぞれぞれだけど、私たちの「旅情」や「何度でも行きたい」スイッチを押してくれる。それは、ガイド本に載っている観光名所のときもあれば、なんてことない街の風景のことも。都市と自然が調和する街ならではの、眺望アソート体験が待っている!

Photo:Yoshitaka Morisawa Text : Aiko Ichida

山や川、公園など、札幌は美しい眺望に富んでいる。普遍的な絶景、刻一刻と変化する景色、四季折々の表情を見せてくれる場所もあれば、季節の風物詩として出会える場景もある。今回は札幌を訪れたら、ぜひ足を運んでほしい心に残るビュースポットを紹介!

Check1.

ラベンダー

雪化粧

建築

頭大仏殿@真駒内滝野霊園

高さ13.5m、総重量1,500 tの巨大な石像大仏が鎮座。雲の隙間から“天使の梯子”が架かるとまるで後光が差しているかのような幻想的雰囲気に。

大仏回廊から見上げると、空を背にした頭大仏がやさしく見下ろす。螺髪に雪が積もる冬景色にも情緒がある。

離れた場所から眺めると、丘から頭大仏の頭部が少しだけ見える。

夏には数万株のラベンダーに囲まれる頭大仏。まるで立体のアート作品のよう。

夕陽に映える頭大仏のシルエット。自然と調和するダイナミックなランドスケープは圧巻だ。

開園30周年を記念し、もともと外に設置されていた石像大仏が「頭大仏殿」へと生まれ変わったのは2016年夏。設計を担当したのは、世界的建築家・安藤忠雄氏だ。以来、世界中からANDOファンが訪れる札幌の新名所となった。鎮座する石像大仏に辿り着くまでの道のりは長く、正門から延びる135mのアプローチを進む。さらに聖俗を分け、結界の意味を持つと言われる水庭、胎内を表すトンネルを抜けた先の大仏回廊でようやくご尊顔を拝むことができる。頭部が少しだけ見えていたところから、間近に望む頭大仏の迫力、そして壮観かつ美しい周囲の景色……ここは訪れた者の心を清らかにする“聖地”だ。

INFORMATION

住所:札幌市南区滝野2番地
TEL:011-592-1223
営業時間:4~10月9:00~16:00、 11~3月10:00~15:00
URL:https://www.takinoreien.com/pages/107/#block6968

Check2.

大学

無料

北海道大学第一農場

のんびり草を食む牛の向こうに、都会の薫り漂う四角いビル群。北大ではこの農場をフィールドにさまざまな農業についての研究が行われている。撮影/伊藤徹也

都会の真ん中、北大ポプラ並木近くにある「北大第一農場」。農学部の学生たちの学びの場としてはもちろんのこと、搾乳牛や農学分野に関わる多彩な教育研究に活用されている。札幌市内でビル街を背に、牛たちがのんびり草を食む様子はここでしか見られない風景だ。北海道の農業に大志をいだいた研究者たちに思いを馳せながら、心癒やすひとときを旅の思い出に。
※農場内は立ち入り禁止。

INFORMATION

住所:札幌市北区北14条西(JR桑園駅から徒歩7~8分)

Check3.

夜景

カラオケ

すすきの

デート

屋上観覧車ノリア@ノルベサ

直径45.5m、地上78mに達する札幌唯一の屋上観覧車「ノリア」。ゴンドラ内のシートはヒーターが完備されていて、冬も暖か。

この景色を前にあなたは何を歌う?最高の夜景を前にON STAGE!

ススキノ交差点から徒歩2分、複合商業施設「ノルベサ」の屋上にあってひと際目を引くのが、巨大観覧車ノリア。ノリアからの眺望は歓楽街から、広がる札幌の街並みを1周約10分かけて楽しむ。徐々に高度を上げ、また元の位置に戻る観覧車だからこその“動く札幌の風景”が魅力だ。ちなみにノリアには、1台だけ「カラオケ観覧車」なるものがある。なんと街を見下ろす“ステージ”で2周分、歌い放題! この特別な体験と共にある眺望は、きっと忘れられない思い出になるはず。

INFORMATION

住所:札幌市中央区南3西5-1-1
TEL:011-261-8875
営業時間:日〜木・祝11:00~23:00、金・土・祝前日11:00〜翌1:00
※最終受付は営業終了10分前まで
利用料金:大人 1,000円(2周1,100円)
URL:https://www.norbesa.jp/noria/

Check4.

札幌駅直結

夜景

温泉

スカイリゾートスパ「プラウブラン」@ JRタワーホテル日航札幌

ガラスの向こうに広がる札幌の街並みを眺めながら心身をほぐすひとときは、忙しい日常のご褒美!

アロマの香り、絶景、マイナスイオンのスチームサウナで、究極にととのう。昼間も開放感抜群。

お風呂上がりにくつろぐラウンジ。景色を眺めながら、ゆったりと過ごす時間は格別。

インドネシア語で「月の島」を意味する「プラウブラン」。その名の通り、水と空に抱かれ、心身を癒やす天空の島をイメージしたスパは、ホテルの22階、地上100mの高さにある。JR札幌駅南口の地下1,000mより湧出した天然温泉を使用した風呂や各種サウナを備え、大浴場を囲むように配された大きなガラス窓からは、札幌を見渡す素晴らしいロケーションが広がり、昼間は札幌市街を一望。夜はきらめく夜景を眺めながら入浴できる。ホテル宿泊者だけでなく一般客も利用できるので、旅のプランにぜひ。

INFORMATION

住所:札幌市中央区北5条西2-5 JRタワーホテル日航札幌 22F
TEL:011-251-6366
営業時間:12:00~23:00(最終入館22:30)
入浴料:3,300円(1回)
※スパ利用は18歳以上
※年1回法令点検による臨時休業あり
URL:https://www.jrhotels.co.jp/tower/spa/

Check5.

札幌駅直結

夜景

JRタワー展望室 タワー・スリーエイト

札幌は日本を代表する夜景都市。写真は地上38階、高さ160mのJRタワー展望室からの眺望。

地上38階、高さ160mのJRタワー展望室からは緑豊かな都市の風景、碁盤の目に広がる中心部の夜景など、視界360度からダイナミックな札幌の街並みを望むことができる。季節や時間によって異なる街の表情はまさに“一期一会”。晴れた日には東に夕張岳や芦別岳、西に手稲山や大倉山、北に小樽、南はネオン輝く夜景が美しいすすきのなど、札幌市外の広域の景色に名所を探す楽しみも。奥行きの深さといい、スケール感といい、北海道の大地を感じられる大パノラマだ。

「圧倒的解放感を独り占め」できる
眺望トイレも要チェック

北側角に設置された男性用トイレは「圧倒的開放感を独り占め」をコンセプトに、建築家・小林純子氏が設計。最初は少しハラハラするが、札幌の街を見下ろしての“ほっと一息”は一度体験するとクセになるかも!?


これぞ“わざわざ行きたい”トイレ。天気のいい日は、抜けるような青空の向こうに石狩湾までを見渡す絶景が広がる。

INFORMATION

住所:札幌市中央区北5条西2丁目5 JRタワーイースト6F(展望室インフォメーションカウンター)
TEL:011-209-5500
営業時間:10:00~22:00(最終入場21:30)
入場料:大人740円
URL:https://www.jr-tower.com/t38

Check6.

煉瓦造り

建築

サッポロビール博物館

煉瓦造りの「サッポロビール博物館」。「産業のまち」として栄えた苗穂エリアに残る工場や倉庫が北海道遺産として登録された際に、その一つに指定。開拓当時の名残りを今に残している。

ここは北海道開拓の歴史と共に日本のビール造りに情熱を注いだ先人たちの想いにふれることができる、日本で最も歴史のあるビール博物館だ。隣接するサッポロビール園開拓使館と共に、明治時代の貴重な建造物として北海道遺産に登録されている。レンガ造りの重厚な建物が醸し出す風情は時を超え、今日の札幌の街に溶け込んでいる。

INFORMATION

住所:札幌市東区北7条東9丁目1-1
TEL:011-748-1876
営業時間:博物館見学スペース11:00~18:00(最終入館17:30)
スターホール(有料試飲)11:00~18:30(L.O.18:00)
ミュージアムショップ11:00~19:30

Check7.

神社

雪化粧

無料

北海道神宮

冬の朝に出会う、静謐な雪景色。銀世界の参道はまるで真っ白な絨毯が敷かれたよう。

境内に生息する野鳥を記した看板を発見。お参りに訪れたシマエナガの目撃情報も。

北の大地を鎮め護る、北海道神宮。境内の豊かな自然は一年中参拝客を楽しませてくれるが、冬は一層神聖かつ清らかな空気に包まれる。寒い日の朝、社殿までまっすぐ伸びる銀世界の表参道に立つと、舞い降りる雪が木々に積もる様子がひときわ優雅で、まるで時が止まったかのような静寂の世界が広がる。目に見える景色はもちろんのこと、纏う空気感、生息する小動物や野鳥の気配……五感に響く一つ一つが記憶に残るやさしい場所だ。

INFORMATION

住所:札幌市中央区宮ヶ丘474
TEL:011-611-0261
URL:http://www.hokkaidojingu.or.jp/

Check8.

雪景色

ササラ電車

路面電車(市電)の軌道を除雪する「ササラ電車」。雪を掃き飛ばしながら走る姿は力強く、豪快だ!

札幌市では1925(大正14)年から運転が始まり、冬の風物詩となっているササラ電車。毎年10月下旬から11月上旬にかけて、車両の前後に長さ30㎝ほどの竹を束ねた「ササラ」と呼ばれるブラシを約400束ずつ、手作業で取り付けるところから冬支度が始まり、雪が地面を覆うようになるといよいよ出動。朝4時から走り、ササラを回して線路の雪を掃き飛ばしながら進む光景は圧巻だ。

Check9.

無料

登山・ハイキング

三角山

標高311.0m。頂上からは札幌市街が一望できる。都市部にあって豊かな自然が保たれた三角山は、子どもたちの遠足や野外活動の場としても親しまれている。

札幌円山エリアから南西を眺めると、“さんかく”の山が見える。その山体から名付けられた三角山は、休日になるとハイキングコースとして、またトレイルランニングの練習コースとして市民が集い、自然と触れ合いを楽しんでいる。登山道が整備され、分岐点ごとに看板やベンチが置かれていたり、勾配や距離によってルートを組み合わせられることから、登山初心者にも人気の山だ。ゆっくり登っても頂上まで1時間弱なので、天気の良い日や旅の合間に出かけられる気軽さもうれしい。三角山の登山口は山の手、小別沢、宮の森の3カ所があるが、利用しやすいのは駐車場とトイレを備えた山の手入口。自動販売機がないので飲み物の準備を忘れずに。
※駐車場台数に限りがあります。できる限り公共交通機関をご利用ください。

Check10.

無料

雪化粧

建築

鴨々川(かもかもがわ)とノアの方舟

川のほとりには、英国人建築家ナイジェル・コーツが石化してしまったノアの箱舟をテーマに手掛けた建築物が。奇抜な建物のデザインと入居している店舗(海鮮炙り居酒屋)のギャップを面白がってカメラを向ける人も少なくない。

鴨々川と駅前通りが交差するススキノ南端は、コイの放流区域になっている。

豊平川の水を引き込んで流れる創成川の上流区域(約2.5km)は、鴨々川と呼ばれている。ススキノ、中島公園など中心部を流れる川は水深が浅く、流れもゆるやか。川沿いにはヤナギの木が立ち並び、春は桜が誇らしげに咲く。歓楽街の中にあって飲食店やタワーマンションが多いエリアで、古き良き札幌の風情を残す川沿いの散歩道は市民の憩いの場であると同時に、川はその名の通り、羽を休めるマガモにとって癒やしの場所になっている。

Check11.

無料

公園

石山緑地

夏は小さな子どもたちが水遊びを楽しむ広場「スパイラルスプリング」。

ネガティブとポジティブを表現した高低差のある、コロシアムのような空間。自然の軟石で作られたステップが水紋のように拡がっている。

軟石の壁から転がり落ちたかのようなキューブが並ぶ「午後の丘」(芝生広場)。

南区石山エリアは、かつて建材に最適とされていた札幌軟石の産出地。その札幌軟石の巨大な石切り場跡を公園へと再生させたのが「石山緑地」だ。特に注目したいのは、切り立った岩肌の造形美が印象的な“南ブロック”。彫刻家集団CINQ(サンク)がデザインした空間はさながらミステリーサークルのよう。自然の石の造形とアート作品が融合し、ほかでは見ることのできない無二の公園風景が広がっている。

INFORMATION

住所:北海道札幌市南区石山78-24
URL:https://www.mit-ueki.com/ishiyama/

Check12.

雪化粧

河川敷

無料

豊平橋

豊平橋から望む北側の風景。冬は雪に覆われ、キタキツネらしき動物の足跡だけが点々と。

春になるとジョギングや散歩を楽しむ人が行き交い、夏はバーベキューをしたり、花火大会の見物客で賑わう河川敷。

春になるとジョギングや散歩を楽しむ人が行き交い、夏はバーベキューをしたり、花火大会の見物客で賑わう河川敷。

豊平川に架かる豊平橋は主要幹線道路(国道36号)が通り、交通量は多いが、橋の上からの見晴らしは爽快なほど開放的だ。広い空と河川敷、キラキラ光る川面(冬は薄氷が張ることも!)、市街地の高層ビル群、北側には近隣の山々が連なり、南側には札幌の地酒「千歳鶴」の看板が掲げられた日本清酒本社が見える。最近は都市と自然が調和した札幌らしい風景が撮れると話題に。知る人ぞ知る、フォトスポットになっている。

Check13.

無料

天体観望

中島公園

札幌市天文台

中島公園の中にある小さな天文台。屈折望遠鏡を通して、見慣れた夜空に散りばめられた星を観るも良し、旅の思い出に眺めるも良し、札幌の宙を見上げてみよう。

口径20cmの屈折望遠鏡(F12)を用いて日中は太陽の観望を、夜は季節の星や惑星の観望会を実施。宇宙への愛に溢れた職員によるわかりやすい解説を聞きながら楽しむ天体観望が好評だ。訪れたその日にしか出会うことのできない太陽や星空を記憶と共に残しておく、というのもロマンチックな旅の証に。ちなみにこちらの天文台はNetflixオリジナルドラマ「First Love 初恋」(2022年配信)のシーンに登場して以来、聖地巡礼に訪れる人も多いのだとか。

INFORMATION

住所:札幌市中央区中島公園1-17
TEL:011-511-9624
公開時間:10:00~12:00、14:00〜16:00
※18:00以降の夜間公開は月数回開催します。ホームページをご確認ください
入館料:無料
URL:https://www.ssc.slp.or.jp/stargazing/sapporo_obs/

写真提供/札幌市建設局みどりの推進部みどりの管理課、JRタワー展望室 タワー・スリーエイト、JRタワーホテル日航札幌

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