朝派?夜派?
2023.11.27

パフェを“大人の嗜好品”にした、札幌発祥の食文化。

お酒を飲んだ後の「締め」にラーメンをすするのもいいが、札幌で飲み歩きを楽しむなら、土地の流儀に従って、ぜひパフェで締めたい。昔から札幌には、深夜まで営業する店があり、飲んだ帰りに食べたり、ペアリングでもう1杯飲んだりといった独自の文化が存在するのだ。

photo: Yoshitaka Morisawa / text: Tamaki Sugaya

実はかなり前からすすきのはパフェの街だった!?

ひとしきりお酒を飲んだ後に、パフェを食べる。いつからか、札幌の繁華街「すすきの」には、一風変わった締めの文化があった。2014年頃から「シメパフェ」なる言葉が誕生し、瞬く間に認知度を上げる。その陰の立役者が「札幌パフェ推進委員会」だ。メンバーの一人、小林仁志さんによると、締めにパフェを食べる文化の発祥については、ハッキリとした記録はないのだという。

2015年9月に「札幌パフェ推進委員会」を発足させ、賛同する7店舗で<札幌シメパフェ>という新たなブランドをスタート。そこから続々と専門店が増え、一大ブームを巻き起こすきっかけとなった。

「SNSとパフェの相性がよかったのも大きいのでは」と、小林さんはブームの一因について話す。さらにもう一つの要因は、意外にもパフェには縁遠かった“おじさん市場”だ。夜まで営業しているお店で、アルコール類に合うパフェが開発されたことで、働き盛りの男性にとってパフェをオーダーするハードルがぐんと下がった。

前置きはこれくらいにして、老若男女を問わず人気を誇る3店舗を厳選して紹介しよう。

パフェ、珈琲、酒、佐々木

「苺と焦がしカスタード〜アールグレイの香りを添えて〜」2,085円

「シメパフェ」ブームの火付け役、〈パフェ、珈琲、酒、佐藤〉の姉妹店として2018年にオープンした〈パフェ、珈琲、酒、佐々木〉。定番のパフェ「苺と焦がしカスタード」「三種のショコラ」「塩キャラメルとピスタチオ」「抹茶と焙じ茶」の4種に加え、季節限定1種を提供。オリジナルのソフトクリームやソルベ、フルーツ、焼き菓子で構成するパフェは、全体的に甘さが控えめでスパークリングワインやシングルモルトウイスキー、ブランデーによく合う。客層は幅広く、スーツ姿のビジネスマンも少なくない。美しく盛り付けられたパフェは「縦にスプーンを入れて、素材の組み合わせを味わってください」と、パティシエの清水未帆子さんが楽しみ方を指南する。

シングルモルトウイスキー、ブランデーの品揃えはそれぞれ20種類以上。

カウンターのみ20席の店内は、一見、バーの雰囲気。

INFORMATION

パフェ、珈琲、酒、佐々木
札幌市中央区南2条西1丁目8−2アスカビル地下1F
TEL:011-212-1375
営業時間:18:00〜L.O23:30(金・土曜〜L.O24:30)
定休日:火曜

夜パフェ専門店 パフェテリア パル

「ピスタチオとチョコレート」1,980円(ドリンクとセットで2,280円)

すすきのの中心部、国道36号沿いのビル6階にあり、合計76席を擁する夜パフェ専門店。これだけの席数があっても、夜7時過ぎには行列ができるというから、その人気ぶりがうかがえる。それもそのはず、常時6種類を揃えるパフェメニューは、専属のパティシエが作る焼き菓子を駆使した立体的な盛りつけで、どれも独創的。映え感がすさまじい。ネーミングも北海道産マンゴーを使う「傘、時々、十勝マンゴー」、ふわふわのメレンゲをあしらった「浮ついた苺の気持ち」、鳥の巣のようにモンブランクリームを盛りつけた「栗巣さんのYOASOBI」など、想像力をかき立てられる。しかも、ほとんどのメニューがひと月足らずで入れ替わるので、リピーターをも飽きさせない。

ウイスキーやカクテルを飲みながら、パフェが登場するのを待つのもまた楽しい。

シックな雰囲気のC館。A〜C館まで3つの客席があり、共通メニューを提供。

INFORMATION

夜パフェ専門店 パフェテリア パル
札幌市中央区南4条西2丁目10-1 南4西2ビル6F
TEL:011-200−0559
営業時間:18:00〜L.O23:30(金・土曜、祝前日〜L.O25:30)
定休日:不定休

HASSO Dolceteria Hokkaido

「落花生のクリーミージェラート ほろ苦く香ばしさ溢れるパルフェ」1,400円

札幌市中央区の円山エリアにある名店〈TAKAO〉の姉妹店として2013年にオープンした〈HASSO Dolceteria Hokkaido〉は、イタリアンとドルチェの店。食後のドルチェとして用意したパフェが好評で、料理を楽しんだ後にデザートワインやグラッパとともにゆっくり味わうことができる。もちろん、ドルチェとお酒だけの利用も可能だ。定番メニューの「落花生のクリーミージェラート ほろ苦く香ばしさ溢れるパルフェ」は、落花生を煮出したうま味成分を使ったクリーミーなジェラートがインパクト大。塩キャラメルの餅やコーヒージュレ、カラメリゼしたライスパフなどとのほろ苦いコンビネーションがたまらない。甘すぎないドルチェが、食後酒にちょうどいい。

カウンターとテーブル席のある店内は落ち着いた大人の隠れ家的雰囲気。

若きシェフの宮本ミロさんが料理を、マネージャー兼パティシエの大澤佳代さんがドルチェを手がける。

INFORMATION

HASSO Dolceteria Hokkaido
札幌市中央区南2条西5丁目-31-4 SCALETTA 3F
TEL:050-5488-2298
営業時間:16:00〜L.O24:00
定休日:水曜

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