さっぽろ散歩
2024.10.25

秋の札幌は中島公園に注目!おいしい「焼き芋テラス」と美しい「ライトアップ」。

関東では11月に見頃を迎える紅葉だが、札幌では10月初頭から木々が色づき始め、10月中旬から下旬にかけて街中をカラフルに彩る。札幌中心部にありながら四季折々の自然が豊かな中島公園は紅葉スポットの一つで、まさに都会のオアシス。散策や通勤・通学の途中で気軽に紅葉狩りを楽しむ市民も多い。そんな公園の魅力をアップさせてくれるのが、昨年にスタートした「さっぽろ焼き芋テラス」。今年から始まる「中島公園紅葉ライトアップ」とあわせて、おいしくて美しい秋の中島公園を堪能しに行こう!

Photo: Ryoichi Kawajiri / text: Masaki Narita

札幌の新たな秋の風物詩として
焼き芋のイベントが昨年よりスタート。

一大歓楽街のすすきのから、のんびり歩いて15分くらいの場所にある中島公園。園内には池や日本庭園などがあり、同じ都心部にある大通公園とはまったく趣が異なる。広い敷地内には、クラシックなどのコンサートが多数開催されている「札幌コンサートホールKitara」や、国指定重要文化財の「豊平館」、ほかにも「北海道立文学館」や「札幌中島体育センター」などが点在しており、どことなく文化的な風情が漂っている。

札幌の都心部に豊かな自然と静寂がある中島公園

ボートにも乗れる菖蒲池は札幌の人気紅葉スポット

そんな中島公園で、おそらく初となるグルメイベント「さっぽろ焼き芋テラス」が開催されたのは2023年の10月のこと。本州ではすでに実施されていた、焼き芋にフォーカスしたイベントを北海道で初めて開催しようという試みだった。このイベントを立ち上げた「さっぽろ焼き芋テラスプロジェクト」の山﨑克己さんは、「なにしろ初めての試みなので、どれくらいの集客があるかがまったく読めなかったですね」と一年前を振り返る。

焼き芋テラスの仕掛け人・山﨑克己さん

「人が集まらなくて大赤字になることも覚悟していました」という山﨑さんの予想は、いい方に裏切られた。10月の10日間で3万人もの集客。およそ8割が女性で、10代から70・80代までの幅広い層が、焼き芋を求めて中島公園を訪れた。

10時スタートなのに9時に並ぶ人もいたほど

北海道でもさつまいもが獲れることを、
このイベントを通して広く伝えたい。

札幌で知られたイベントとしては、2008年に始まった「さっぽろオータムフェスト」がある。今や200万人以上が来場する北海道最大級の食の祭典だ。「私、もともと札幌市役所にいまして、オータムフェストの立ち上げにも関わったんですよ」(山﨑さん)。2023年春に市役所を定年退職した山﨑さんは総合イベント会社に再就職。新たな食のイベントとして「さっぽろ焼き芋テラス」を企画したときにその経験が生きた。

オータムフェストに並ぶイベントに育てたいという山﨑さん

9月にオータムフェストが終わり、11月末に「ミュンヘン・クリスマス市」が始まる10月は、イベントの空白期間だった。そこにぴったりとはまるピースが焼き芋テラスだったのだ。「秋=焼き芋」という単純な構図と思いきや、元公務員の山﨑さんの思惑は別のところにあった。「これまでは道内で育てにくかった、にんにく、さつまいも、らっかせいの3種が、北海道の新顔作物に指定されました。そのアピールと需要拡大も考えたイベントなんですよ」。

北海道でもさつまいもの栽培が広がっている

会場を地下鉄南北線「中島公園駅」出口すぐの中島公園南9条広場に設定したのも、たくさんの人がふらっと立ち寄りやすくするためだそう。好評につき2024年は出店数を約2倍に拡大し、札幌と近郊の約20店舗が焼き芋やさつまいもスイーツ、コーヒーやお酒、札幌近郊の採れたて野菜や加工品などを販売する。テント席やスタンディングカウンターなど、座席も前年の3倍の約300席に増える。

中島公園駅の3番出口は会場の目の前

美しい紅葉とホカホカの焼き芋、
日本の秋のお楽しみを堪能!

会場内の焼き芋ブース7店舗のうち、3店舗は札幌市と近郊の農家が自ら育てたさつまいもを焼き芋にしてくれるそう。「焼き芋専門店では主に本州産を使われるので、北海道のさつまいもと食べ比べてみるのもいいと思います」。準完全栄養食といわれるほど栄養価の高いさつまいもは、食物繊維も多く、特に女性にとって嬉しい食材。北海道育ちのさつまいもはしっとりとした甘さがあるのが特徴で、会場では「紅はるか」や「紅あずま」、「パープルスイートロード」などの品種を食べ比べできる。ぜひ確かめてみたいものだ。

ネットリ派もホクホク派もどちらも大満足

テラス席でコーヒーなどと楽しみたいスイーツ(2023年撮影)

実りの秋を感じさせる多彩なスイーツも登場

「今年の開催は、10月25日(金)から11月4日(祝)までの11日間。この時期は、中島公園の紅葉が美しいんですよ。そんな景色の中、ホカホカの焼き芋を楽しむなんて最高じゃないですか」と笑う山﨑さん。会場装飾にも力を入れ、公園の自然とマッチした非日常の世界を創出するという。木々のグラデーションと相まって、気持ちのいい空間になることだろう。

紅葉のライトアップイベントもスタート、
秋の中島公園は見逃せないスポット。

その焼き芋テラスとほぼ同時期に、中島公園を彩る新イベントがスタートする。それが「中島公園紅葉ライトアップ」。10月25日(金)から11月3日(日)までの10日間にわたって、中島公園内の4カ所のビューポイントがライトアップされる。焼き芋テラス会場のすぐ隣にある「イチョウ並木エリア」も、約100メートルにわたって美しく照らし出される。両イベントが重なるのは18時から19時までの1時間だけなので、ピンポイントでこの時刻を狙うのもおすすめだ。

すすきの側から見たイチョウ並木のライトアップ

他には、中島公園のシンボル「菖蒲池エリア」、国指定重要文化財の「豊平館エリア」、メインとなる「日本庭園エリア」がライトアップされる。紅葉と光を映しだす池、夜に浮かび上がる明治期の歴史的建造物、より趣を増す日本庭園の紅葉など、市民でも見たことのないシーンが展開される。期間中は豊平館が無料開放され、芸妓演舞や抹茶体験などのイベントも開催される。キッチンカーも登場するので、焼き芋テラスからの流れで夜グルメを堪能するのも楽しそうだ。秋の札幌は街の至る所が紅葉で美しく彩られるので、ぜひ堪能してもらいたい。

菖蒲池は、さまざまな角度から景色のライトアップが楽しめる

日本庭園ではお汁粉の販売も予定されている

Information

さっぽろ焼き芋テラス2024
会期:2024年10月25日(金)~11月4日(月・振休) 11日間
時間:11:00~19:00
会場:中島公園 南9条広場(札幌市こども人形劇場こぐま座・中島児童会館前の広場)
アクセス:地下鉄南北線「中島公園駅」1番・3番出口すぐ
入場料:無料(飲食代別途)
出店規模:約20店(予定)
https://sapporo-yakiimoterrace.com/

中島公園紅葉ライトアップ
会期:2024年10月25日(金)~11月3日(日) 10日間
時間:18:00~21:00
会場:中島公園(札幌市中央区中島公園1)
入場料:無料(飲食代、イベント参加費別途)
https://sapporo-autumn-illuminations.jp/

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