秋の定山渓はどこもかしこも紅葉の名所!なかでも地元民イチ推しの紅葉スポットとは⁉︎
札幌市内にありながら、豊かな自然と名湯が楽しめる「定山渓」。山々に囲まれた渓谷の寒暖差によって、美しく鮮やかな紅葉のシーンが展開することでも有名だ。今回は、定山渓で暮らす6人に、とっておきの紅葉スポットを紹介してもらった。地元を知り尽くしたローカルな視点で、まだ見ぬ定山渓の紅葉を見に行こう。
Text : Masaki Narita
紅葉の定番スポットもいいけれど、
知る人ぞ知る穴場の紅葉も見てみたいもの。
北海道を代表する温泉街であり、道民にはおなじみの紅葉スポットでもある定山渓までは、JR札幌駅からのんびりとバスに揺られて1時間ほど。そこには、温泉街を囲む山々と森林、豊平川が流れる渓谷が織りなす美しい風景が広がっている。札幌を代表する四季折々のビュースポット、それが定山渓なのだ。
錦秋という言葉がふさわしい秋の定山渓
温泉街や散策路、宿の部屋や露天風呂など、秋にはさまざまな場所からの紅葉が楽しめるが、温泉街に点在している橋は絶景スポットのひとつ。紅葉にも映える真っ赤な「二見吊橋」をはじめ、「月見橋」「時雨橋」「錦橋」、その名も「紅葉橋」など、渓谷と紅葉、水面に映る紅葉が見られる橋めぐりは、定山渓の紅葉狩りの定番だ。
鮮やかな朱色の二見吊橋も紅葉に染まる
そんな定番スポットもいいが、せっかく秋の定山渓に行くのであれば、地元の人々がこっそり楽しんでいる穴場の紅葉も見てみたいもの。そこで今回は、定山渓で暮らしている6名の方々に、「私だけが知っているオススメのスポット」を聞いてみた。
オススメのスポット①
アウトドアガイドの白川浩章さんは、
豊平川から眺める紅葉推し!
最初に伺ったのは、定山渓や千歳市をフィールドに、カヌーやラフティング、SUPなどを提供する「アミューズスポーツ」の白川浩章さん。自身もガイドとして活躍している白川さんのおすすめは「錦橋の奥から見える紅葉」だ。「橋の上から紅葉を見るのが定番ですが、カヌーだと渓谷から橋を上に望む景色が楽しめます。両サイドを岩で挟まれているところをカヌーで抜けて、赤い橋と紅葉が見えてくる瞬間がいいんですよ!」。
カヌーから見上げる紅葉は一味違う美しさ
白川さんがもう1カ所挙げてくれたのが、カヌーでしか行けない川の奥にある「舞鶴の瀞(とろ)」。散策やドライブでは見えない景色をカヌーから眺めるのは最高の体験だという。「気温が高いと若干緑が残ったり、赤よりもオレンジが強まったり、その年によって色味が違うのも定山渓の紅葉の面白いところです。紅葉のピークが短いので、一度と言わず何度でもお越しいただくと最高の紅葉に会えると思います」と白川さん。
錦橋から眺める舞鶴の瀞の紅葉
オススメのスポット②
定山渓の絶景を求めて店を構えた、
パン職人の本間太津也さんのオススメ。
続いては、北海道産の小麦を使って石窯で焼くこだわりのパン店「ヴェルジネ・バッカーノ」の本間太津也さん。定山渓に店舗を移して5年目の本間さんのイチオシ紅葉は、お店からの景色! 定山渓で一番キレイだと思った場所にお店を建てたそう。「地主さんに、絶対ここがいいとお願いしたほど。裏の崖は川沿いなので、木の種類が多くて紅葉の色が混在していて彩りがキレイです。一番は朝ですね。横からの朝日が川のもやに当たって幻想的な感じになるんです。こんな景色を毎日見られるのは幸せですね」。紅葉シーズンには、外のテーブルで景色を眺めながら、お店自慢のクロワッサンを味わうのもいい。
お店のテラス席からは自慢の紅葉が望める
オススメのスポット③
栗原宏介さんは豊平峡を管理しながら、
展望台からの紅葉に毎年感動。
札幌リゾート開発公社で豊平峡の管理を担当している栗原宏介さんは、豊平峡展望台から見下ろすダム湖の紅葉を推してくれた。「豊平峡の紅葉は黄色が多いんです。湖に紅葉が反射する景色も楽しめて、風がない日は特にキレイ。ピーク時の紅葉には毎年感動します」。豊平峡展望台には、電気バスか徒歩でしか来ることができない。そのプレミアム感もおすすめのポイントだと語ってくれた。
毎年多くの観光客で賑わう豊平峡展望台
栗原さんのイチオシは「千丈岩」。光が差す方向によって赤や黄色に見えたり、見る場所によっても迫力が変わる。「定山渓とは違って、千丈岩の渓谷は見る人の目線と同じ高さにあるので迫力があります。定山渓からさらに奥まっているので、紅葉の色づきも違います。ぜひ見比べてみてほしいですね」と熱く語ってくれた。
ダム湖を囲むように彩られる千丈岩の紅葉
オススメのスポット④
観光果樹園責任者の皆川久美子さん、
定山渓ファームの裏紅葉を散策。
「奥定山渓カムイの森 定山渓ファーム」で観光果樹園の責任者を務める皆川久美子さんにお気に入りの紅葉スポットを尋ねると「定山渓ファームの裏紅葉です!」と即答してくれた。「表紅葉と言われる豊平峡ダムの景色も美しいですが、川を挟んだ反対側の裏紅葉も見事です。周囲を紅葉の森に抱かれた私たちの果樹園では、いろいろな種類の果物の木と庭園の花木、その紅葉のコラボレーションが圧巻です」。
ファーム内を散策しながら多彩な紅葉を楽しめる
オススメのスポット⑤
紅葉はスキー場のゴンドラから見下ろす。
映像カメラマンのニール・ハートマンさん。
続いては、アメリカ・サンディエゴ出身の映像カメラマン、ニール・ハートマンさん。人気ソフトクリーム店「ロケール定山渓」も経営するニールさんのおすすめは、「札幌国際スキー場」の紅葉だ。「紅葉は見上げるのが普通ですが、ここではゴンドラの上から見下ろすことができます。ちょうどゴンドラの下にバランス良くモミジやナナカマドの木が多いので、赤、黄、オレンジというグラデーションがすごくキレイ」とのこと。
紅葉シーズンにはゴンドラが運行される
ゴンドラは15分で山頂に到着するが、その15分間は至福の紅葉タイムだそう。山頂からは小樽も石狩湾も見えて、天気の良い日には旭岳まで望むことができる。山頂では毎年「紅葉まつり」というイベントがあり、今年も10月20日まで開催中。「紅葉まつりでは私も、山頂のカフェSKS INTERNATIONALの営業をやっていますから、ぜひ遊びに来てください!」とPRも忘れないハートマンさんである。
山頂からの眺めと紅葉のコラボは秋だけの絶景
オススメのスポット⑥
キャンプ場を運営する福田健次さんは、
絵画のような八剣山の紅葉を見守る。
最後に訪ねたのは「八剣山ワイナリー焚き火キャンプ場」と「八剣山キッチン&マルシェ」。ここを夫婦で運営する福田健次さんは、お店の窓から眺める八剣山の紅葉が一番と語る。「食事をしながら窓から眺めるブドウ畑と紅葉は、まるで絵画のようです。あとは八剣山果樹園のさくらんぼ畑からの眺めもいいですね。紅葉に染まる八剣山を正面からの大パノラマで見られますよ」。
正式名は「観音岩山」だが、峰が8本の剣に見えることから「八剣山」と呼ばれる
6人が教えてくれた「とっておき」の紅葉、
便利なバスに乗って見に行こう!
みなさんが紹介してくれた「定山渓温泉エリア」「豊平峡ダムエリア」「奥定山渓カムイの森エリア」「札幌国際スキー場エリア」「八剣山エリア」は、定山渓の五大紅葉エリアと呼ばれている。シーズン中は各エリアへ向けたバスが運行されていて、なかにはガイド付きツアーバスもあるので、上手に利用して定山渓の紅葉を満喫していただきたい。
期間限定で運行される「紅葉かっぱバス」